丁半という賭け事をご存じでしょうか?
2個のサイコロをツボに投げ入れて伏せ、出た目の合計が、偶数ならば「丁」、奇数ならば「半」で、丁半どちらかに賭ける、江戸時代からある賭け事です。時代劇で見たことがあるかもしれません。
2個のサイコロなので、合計は最小が、1+1の2で、最大が、6+6の12になります。
ある時、漫画家の蛭子能和さんが、丁は「2,4,6,8,10,12」の6通り、半は「3,5,7,9,11」の5通りなので、丁半どちらかに賭けるとしたら丁だ、と言ったとか言わないとか・・・
さてこれは正しいのでしょうか? (-_-;ウーン
二つのサイコロの出る目の組み合わせを考えてみます。仮に二つのサイコロをAとBとします。サイコロAの出る目は1~6、Bの出る目も1~6なので、その組み合わせは、6通り×6通り、の36通りあることになります。下の表のようになります。
例えばAのサイコロが「3」、Bのサイコロが「4」のとき、和は丸で囲んだ「7」になります。Aチーム6人、Bチーム6人の総当たり戦の表みたいですね。
さてこの表で、和が偶数になる場合を調べてみましょう。表をピンクで塗ってみます。
きれいな市松模様になりました。
6通り×6通り = 36通り
の半分の18通りですね。
同様に奇数になるのは残りの18通りです。
つまり丁(和が偶数)も半(和が奇数)も同じ確率で起こることがわかりました。めでたしめでたし~
どちらに賭けても、いかさまでない限り当たるか当たらないかは50%の確率です。
なぜ丁の方が得だと考えたのでしょうか?確率の定義を見て考えてみましょう。
ある試行において、起こりうるすべての場合の数をN通りとして、その各々の起こり方は同様に確からしいとする。N通りのうち、事象Aが起こる場合の数をa通りとするとき、事象Aの確率P(A)を次のように決める。
今回の丁半で丁が出る確率は、次のようになります。
ある試行:2個のサイコロを振り和を調べる
起こりうるすべての場合の数:6通り×6通り=36通り つまり N=36
事象A:和が偶数(表のピンクの部分)なので18通り つまりa=18
よって
あれあれ、丁も半も同じ確率になりそうですね。
では最初の「丁がお得」説はなんだったのでしょう?
起こりうるすべての場合を、丁は「2,4,6,8,10,12」の6通り、半は「3,5,7,9,11」の5通り、6+5=11通り、としたのが間違えです。この11通り「同様に確からしい」とは言えないですね。
表を見てみましょう。和が2になるのは「1+1」の場合だけですが、和が4になるのは「1+3」「2+2」「3+1」の3通りです。2より4の方が3倍出やすいわけです。
確率を考えるときの分母は「同様に確からしい」を念頭に置いて、すべての起こりうる場合を数え上げなければならないということです。確率を考えるときの最初の一歩です。